White Noiz

諸々。

アニメ版「ピアノの森」 ショパン・コンクールまでの雑感

ネットフリックスでアニメ版「ピアノの森」を観始めた。

あれね。
イチノセ カイって「世界一の」のアナグラムなのかね。
もしかしたら、まんま「一の世界」なのかもしれんけど。

どうしても、「四月は君の嘘」と比較してしまうな。
主人公のように見えるカイって実は主人公じゃねぇんじゃねーの?って思ってしまう。
どちらかというと、雨宮の方が主人公に見えるのはオレだけだろうか。
丸山が出てきて、三つ巴の群像劇風になるかと思いきや、そういうわけでもなく、丸山がヒロインの座に収まるわけでもなく。

こういう系統の物語というのは、どうしても演者の深みを出すために悲劇を盛り込みがちなのだけども、アニメ版だからなのか、どうもカイの人物描写が薄い。
確かに逆境とも言える生い立ちを背負っているものの、カイはそれを気に病んでいる風でもなく、飄々と育ったように見える。

確かに作中の事件はいろいろあるのだけども、カイの立ち直りの速いカラッとした性格は、人としての深みを盛り込むだけの懊悩を抱えるように思えないのだ。
もちろん、優しさは表現できると思うのだけど、憤怒や慟哭は無縁のような性格に見える。

ショパン・コンクールで出てくる回想に至って、漸く色々ひどい目にあったというそれっぽいシーンが出てくるものの、それはあまりにも唐突過ぎて取って付けたような印象しか残らなかった。
説得力が足りない感じ。
コミック版だとどうなんだろう?やっぱり色々あるのかな。アニメ版だから省かれてるだけなのかな。

ここまで書いておいてなんだけど、結局、オレは「不幸な生い立ちの天才が成功するサクセスストーリー」には興味がないんだなって。
「凡人が歯ぁ食いしばって天才に追い縋る話」が好きなんだろうな。

楽曲の省き方もなんかちょっと中途半端な気がするし、期待していただけにちょっと残念。

とは言うものの、全体的に見れば面白いし、演奏も素晴らしいのでちゃんと見れてます。


一番好きなシーンはショパン・コンクールで「拳!!!」のところです。